第4章 企業活動に関する法規制>第2節 消費者保護関連規制

Ⅰ 消費者契約法

1 消費者保護法制

・情報の非対称性
・十分な理解を得ずに契約、相手の勧誘に乗って契約、欠陥商品で被害

2 消費者契約法

・消費者と事業者との間で締結される全ての契約に適用(労働契約は除外)
・個人事業主は、消費者ではなく事業者
(1)誤認による取消し
①重要事項の不実告知
②不確定な事項についての断定的判断の提供
③故意、重過失による不利益事実の不告知
(2)困惑による取消し
①不退去
②退去妨害
③不安をあおる告知(就職セミナー商法)
④経験不足を不当に利用する行為(デート商法)
⑤加齢等による判断力低下を不当に利用する行為
⑥霊感等による知見を用いた告知(霊感商法)
⑦契約締結前に債務の内容を実施する行為
⑧分量、回数、時間が通常想定されるものを著しく超えるもの
(3)取消しの効果
・原状回復義務
・取消権は、追認できる時(気づいた時)から1年間、契約から5年間で消滅
取消しの効果は、善意無過失の第三者には対抗できない
取消権成立の証明責任は、すべて消費者側にある。
(4)契約条項の無効(契約全体は無効にはならない)
①事業者側の債務不履行に対して、損害賠償責任を全部免除する条項
②事業者側の故意、重過失による債務不履行に対して損害賠償責任を一部免除する条項
③事業者側の不法行為に対して、損害賠償責任を全部免除する条項
④事業者側の故意、過失による不法行為に対して損害賠償責任を一部免責する条項
⑤事業者側の債務不履行に対して、消費者の解除権を放棄させる条項
⑥事業者が、自からの責任(債務不履行、不法行為)を自ら決定する条項
⑦消費者の後見開始等を理由とする解除条項
⑧消費者が負担する遅延損害金が年率14.6%超とする条項
⑨所費者の不作為をもって新たな申込み、承諾の意思表示とみなす条項
(5)適格消費者団体訴訟制度
差止請求権 ・一定のNPO、公益法人は内閣総理大臣の認定を受けて適格消費者団体となる
・不特定多数の消費者利益を保護するため、以下の行為につき差止請求が出来る
㋐取消しできる不適切な勧誘行為、㋑無効となる申込みや承諾、㋒景品表示法上の優良誤認表示や有利誤認表示、㋓特定商取引法上の不当勧誘や虚偽広告
被害回復裁判手続
・消費者裁判手続特例法で㋐共通義務確認の訴えと㋑簡易確定手続の二段階型の訴訟制度を用いて、消費者負担軽減と消費者迅速救済を図っている
共通義務確認の訴え;特定適格消費者団体を原告、事業者を被告として、債務不履行や不法行為等に基づく金銭支払いに関する共通義務の存否確認が行われる
簡易確定手続;共通義務が認められたら、二段階目の簡易確定手続が開始され、消費者は債権届出を行う。事業者から債権に異議がなければ、届出債権が確定し、届出債権表の記載は、確定裁判と同一の効力を有する(強制執行の債務名義となる)。