行政法 > §12 地方公共団体住民の権利

1.選挙権

議会の議員と長の双方が住民の直接選挙で選ばれる。
 選挙権を有するのは、日本国民である満18歳以上の者で、引き続き3ヶ月以上市町村の区域内に住所を有する者である。

2.被選挙権

都道府県知事は、満30歳以上の日本国民、市町村長は満25歳以上の日本国民である。知事には住所の要件はない。
 都道府県・市会議員については、満25歳以上で議会の議員の選挙権を有する者、つまり、引き続き3か月以上当該市町村及び都道府県の区域内に住所を有する者である。

3.直接請求ⅰ

 地方自治法には、住民による直接民主制的な制度が存在する。地方選挙権を有する住民が、一定数以上の者の連署によって、その代表者から一定事項について請求することでなされる。

〇有権者の50分の1以上の連署が必要なもの

条例の制定改廃請求
 長が請求を受けたときは、この請求の要旨を公表し、意見を付けて議会に付議し、その結果を代表者に通知するとともに、これを公表しなければならず、議会の議決があったときに条例の制定改廃の効果が生ずる。
 ちなみに、税、手数料の条例は対象になってない
②事務の監査請求
③合併協議会の設置

4.直接請求ⅱ

〇有権者の3分の1以上の連署を要するもの

①議会の解散請求
解散請求がなされると、有権者による投票が行われ、その過半数の同意があるときに、議会は解散される。
②議員、長、主要役員の解職請求
・議員及び長の解職
解職請求がなされると、有権者による投票が行われ、その過半数の同意があるときにはその職を失う。
・主要役員の解職請求
 副知事、副市長村長、選挙管理委員、監査委員、公安委員会の委員が対象。
 請求がなされると、議会に付議され、議員の三分のニ以上が出席し、その4分の3以上の同意による付議があった場合、役職員は解職される。議会が否決した場合には解職されない。

5.住民監査請求

住民監査請求も事務監査請求も地方公共団体の監査委員に対して行うものである点で共通している。しかし、事務監査請求が有権者の50分の1以上の連署が必要なのに対して住民監査請求は一人でも行うことができる。
 また、住民訴訟と異なり、違法のみならず不当事由の監査も請求できる。ただし、財務会計上の行為のみが監査請求の対象となる。

6.住民訴訟

住民訴訟とは、住民が、自己の法律上の利益にかかわらず、地方公共団体の執行機関および職員の違法な財務会計上の行為または怠る事実の是正を求めて提起する民衆訴訟である。この住民訴訟をするには、住民監査請求を前置しなければならない。そして、住民監査請求に対する監査委員の監査の結果に不服があるときには、住民訴訟を提起できるのである。