子どもは日々、目まぐるしく成長します。子ども達の心身の健康を確保、増進させるには、生活の質(QOL)を意識し、食事、排泄、睡眠などの日々の生活を充実させていくことが必要です。近年では、子どもの肥満、孤食、朝食の欠食など、家庭の食の課題が目立ってきています。そのため、厚生労働省は、「楽しく食べる子どもに~食からはじまる健やかガイド~」を発表しました。楽しく食べる子どもを目標に据えて、心と身体の健康を保ち、人との関わりや食の文化と環境との関りの中で、健やかな食のスキルを育むことを目指しています。
        
        
A.「楽しく食べる子どもに~食からはじまる健やかガイド~」厚生労働省
        
        ⇒食は命の源となる活動です。そのため子ども達には食べることは楽しいことであるという気持ちを育てることが大切です。「楽しく食べる子ども」とは、心身の健康を保ち、人との関わりを通して社会的健康を培いながら食の文化と環境との関わりの中で、生き生きとした生活を送るために必要な健やかな食のスキルを育む子どもの姿を示しています。
        
        【授乳期・離乳期】
        ◎安心と安らぎの中で食べる意欲の基礎作りを行う授乳期・離乳期
        〇安心と安らぎの中で母乳(ミルク)を飲む心地よさを味わう
        〇いろいろな食べ物を見て、触って、味わって、自分で進んで食べようとする
        
        【幼児期】
        ◎食べる意欲を大切に、食の体験を広げる幼児期
        〇おなかがすくリズムが持てる
        〇食べたいもの、好きな物が増える
        〇家族や仲間と一緒に食べる楽しさを味わう
        〇栽培、収穫、調理を通して、食べ物に触れはじめる
        〇食べ物や身体のことを話題にする
        
        【学童期】
        ◎食の体験を深め、食の世界を広げる学童期
        〇1日3回の食事や間食のリズムがもてる
        〇食事のバランスや適量がわかる
        〇家族や仲間と一緒に食事作りや準備を楽しむ
        〇自然と食べ物との関り、地球と食べ物との関りに関心をもつ
        〇自分の食生活を振り返り、評価し、改善できる
        
        【思春期】
        ◎自分らしい食生活を実現し、健やかな食文化の担い手になろうとする思春期
        〇食べたい食事のイメージを描き、それを実現できる
        〇一緒に食べる人を気遣い、楽しく食べることができる
        〇食料の生産・流通から食卓までのプロセスがわかる
        〇自分の身体の成長や体調の変化を知り、自分の身体を大切にできる
        〇食に関わる活動を計画したり、積極的に参加したりすることができる
        
        B.食生活指針
        
        2000年に当時の文部省(現文部科学省)、厚生省(現厚生労働省)、農林水産省が、国民一人
        ひとりが食生活の改善に取り組むことを目的に、食生活指針が協同策定されました。こちらでは、具体的な食生活目標と行動が示されており、国民の実践が期待されています。
        
        食生活指針
        ①食事を楽しみましょう
        ・毎日の食事で、健康寿命をのばしましょう。
        ⇒健康寿命とは、平均寿命の内、心身共に自立して健康に生活できる時期を指します。
        ・美味しい食事を、味わいながらゆっくりよく噛んで食べましょう。
        ⇒咀嚼について述べられています。
        ・家族の団らんや人との交流を大切に、また、食事づくりに参加しましょう。
        ⇒共食について述べられています。
        
        ②1日の食事のリズムから、健やかな生活リズムを
        ・朝食で、いきいきとした1日を始めましょう
 
        ⇒近年、朝食欠食が問題となっています。朝食が摂れない生活スタイルに変化していることに注目。
        ・夜食や間食はとりすぎないようにしましょう
        ・飲酒はほどほどにしましょう
        
        ③適度な運動とバランスのよい食事で、適正体重の維持を
        ・普段から体重を量り、食事量に気をつけましょう
        ・普段から意識して身体を動かすようにしましょう
        ・無理な減量はやめましょう
        ・特に若年女性のやせ、高齢者の低栄養にも気を付けましょう
        
        ④主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを
        ⇒主食はご飯、パン、麺類などを指し、糖質を多く含み主要なエネルギー源となるものを指します。
        ⇒主菜は肉、魚、たまご、大豆製品などのたんぱく質を多く含むものを指します。
        ⇒副菜は、野菜、きのこ、いも、海藻などのビタミン、ミネラル、食物繊維を多く含む物を指します。
        ・多様な食品を組み合わせましょう
        ・調理方法が偏らない様にしましょう
        ・手作りと外食や加工食品・調理食品を上手に組み合わせましょう
        
        ⑤ごはんなどの穀類をしっかりと
        ・穀類を毎食とって、糖質からのエネルギー摂取を適正に保ちましょう
        ・日本の気候・風土に適している米などの穀類を利用しましょう。
        
        ⑥野菜・果物、牛乳・乳製品、豆類、魚なども組み合わせて
        ・たっぷり野菜と毎日の果物で、ビタミン、ミネラル、食物繊維をとりましょう。
        ・牛乳、乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などで、カルシウムを十分にとりましょう。
        
        ⑦食塩は控えめに、脂肪は質と量を考えて
        ・食塩の多い食品や料理は控えめにしましょう。
        ⇒食塩摂取量の目安量は男性で1日8g未満、女性で7g未満とされています。
        ・動物、植物、魚由来の脂肪をバランス良くとりましょう。
        ・栄養成分表示を見て、食品や外食を選ぶ習慣を身に付けましょう
        
        ⑧日本の食文化や地域の産物を生かし、郷土の味の継承を
        ・「和食」をはじめとした日本の食文化を大切にし、日々の食生活に活かしましょう
        ・地域の産物や旬の素材を使うとともに、行事食を取り入れながら、自然の恵みや四季の変化を楽しみましょう
        ・食材に関する知識や調理技術を身に付けましょう
        ・地域や家庭で受け継がれてきた料理や作法を伝えて行きましょう。
        
        ⑨食料資源を大切に、無駄や廃棄の少ない食生活を
        ・まだ食べられるのに廃棄されている食品ロスを減らしましょう。
        ・調理や保存を上手にして、食べ残しの無い適量を心掛けましょう。
        ・賞味期限や消費期限を考えて利用しましょう
        
        ⑩「食」に関する理解を深め、食生活を見直しましょう
        ・子どものころから、食生活を大切にしましょう
        ・家庭や学校、地域で、食品の安全性を含めた「食」に関する知識や理解を深め、望ましい習慣を身に付けましょう
        ・家族や仲間と、食生活を考えたり、話合ったりしてみましょう
        ・自分たちの健康目標をつくり、よりよい食生活を目指しましょう