8.DXにおけるビジネスモデル-1

DXビジネスの方向性(再掲)

DXにおけるビジネスモデルを示す前に、その前提となるDXビジネスの方向性について改めて確認しておきます。
DXビジネスのメインとなるのは、既存ビジネスであれ新規ビジネスであれ、データとデジタル技術を活用して新しい価値を創出することであり、その結果として収益を拡大することです。そのための過程として、既存ビジネスにおける業務の効率化やコスト削減することは非常に重要なことでありますが、そこが目的ではないということです。
この前提に立ったうえで、どのようなビジネスモデルがあるのかについて説明します。


DXビジネスモデルのタイプ

本講座では、6つのDXビジネスモデルのタイプをご紹介します。
① リアルタイム型/オンデマンド型
② サブスクリプション型/Pay per型
③ マッチング型/シェアリング型
④ マスカスタマイゼーション型
⑤ 予測型
⑥ 顧客付加価値型

実際のDX事業としては、上記の複数の要素を組み合わせていることもあります。


① リアルタイム型/オンデマンド型

このモデルは、顧客が求めている情報をリアルタイムに提供することで、自社の売上アップにつなげるタイプです。リアルタイムに情報を提供するための仕組みとして、プラットフォームを利用したりします。


事例:車両の動態管理・安全運転診断サービス
顧客が所有する車両に設置されているGPS機器から収集したリアルタイムデータを元に位置情報や運転状況を提供しますが、さらにAI解析して事故を未然に防止したり、リアルタイムの付加価値情報を提供したりします。


事例:人気レストランの直前キャンセルを買取・販売サービス
この事例は、人気レストランにて予約が直前でキャンセルが発生したときに、すでに準備していた食材や料理を無駄にしないために、キャンセル情報をSNSを通じてサービス提供者の会員に通知し、買い取りたい人を募ります。予約するだけでも困難な人気レストランを対象としているため、直前でも買いたいというニーズを反映したサービスといえます。


② サブスクリプション型/Pay per型

このモデルは、サービス提供事業者が顧客のサービス利用状況に応じて課金するタイプになります。


事例:動画(音楽)配信サービス
多種多様に準備された動画や音楽コンテンツに対して、顧客は好きな時に見たいコンテンツを視聴します。視聴した分だけ課金したり、定額料金による見(聴き)放題だったり、利用状況に応じた料金メニューが提供されます。


事例:研修・教育向け動画配信サービス
企業または個人向けに準備された研修・教育コンテンツを提供するサービスです。顧客は好きな時に見たい教育動画を視聴できます。視聴した回数に応じた従量課金制だったり、利用人数に応じた定額料金によって見放題だったり、利用状況に応じた料金メニューが提供されます。


事例:PPC(Pay Per Click)
Webサイトに掲載される広告に対して、その広告料が、Webサイトの閲覧者によるクリック数に応じて課金される仕組みです。