4-1.公的年金の概要
①制度の仕組みと加入者
公的年金は「2階建ての構造」ともいわれ、国民年金と厚生年金から成ります。国民年金は20歳以上60歳未満のすべての人を対象としていて、このことを「国民皆保険」といいます。厚生年金の加入者は、同時に国民年金の第2号被保険者の加入者でもあります。
②年金の種類
公的年金の給付は、国民年金・厚生年金それぞれに「老齢給付」「障害給付」「遺族給付」の3種類があります。
| 制度の種類 |
支給事由 |
| 老齢 |
障害 |
遺族 |
| 国民年金(1階部分) |
老齢基礎年金 付加年金 |
障害基礎年金(1、2級) |
遺族基礎年金 寡婦年金 死亡一時金 |
| 厚生年金(2階部分) |
老齢厚生年金 |
障害厚生年金(1、2、3級) |
遺族厚生年金 |
③国民年金(1階部分)
(ⅰ)国民年金の加入者と保険料
国民年金の被保険者は、第1号・第2号・第3号の3種類です。
| 条件 |
国内居住の20歳以上60歳未満 |
厚生年金保険の被保険者 |
国内居住の20歳未満60歳未満で第2号の被扶養配偶者 |
| 対象者 |
自営業者、学生など |
会社員、公務員など |
専業主婦(夫)など |
| 加入手続き |
市区町村役場 |
勤務先 |
配偶者の勤務先 |
| 保険料 |
月額16,540円 (※2020年度額) |
2号、3号の国民年金保険料は、厚生年金保険料から拠出されているので、別途国民年金保険料を納める必要はない |
(ⅱ)国民年金の保険料免除制度
【法定免除・申請免除・納付免除・学生納付特例】
|
法定免除 |
申請免除 |
納付免除 |
学生納付特例 |
| 対象者 |
障害年金(2級以上)の受給権者、生活保護の扶助を受けている者 |
経済的に納付困難 |
50歳未満 |
学生 |
| 所得審査 |
なし |
本人・配偶者・世帯主 |
本人・配偶者 |
本人 |
| 受給資格期間への参入 |
あり |
| 基礎年金額への反映 |
一部反映 |
反映されない |
| その他 |
全額免除 |
全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除あり(4種類) |
2025年7月以降は30歳未満 |
対象学生は、「申請免除」の対象とはならない |
| 追納 |
過去10年間遡って、全部または一部を追納できる |
※法定免除以外は原則として毎年申請が必要
【産前産後の免除】
第1号被保険者の、産前産後の一定期間について保険料が免除されています。
●免除期間:出産予定月もしくは出産した月の前月から4か月間。所得要件はなく、保険料納付済期間にも算入されます。
④厚生年金(2階部分)
(ⅰ)厚生年金の加入者
厚生年金保険の適用を受ける事業所に勤務する従業員は、国籍や賃金に関わらず、70歳まで加入します。適用事業所とは株式会社などの法人や従業員が常時5人以上の個人事業所などです。1週間の所定労働時間や1カ月の所定労働日数が4分の3以上のアルバイトやパートタイマーなども加入者になります。
(ⅱ)厚生年金保険の保険料と免除
厚生年金保険の保険料は、給料(標準報酬月額)および賞与(標準賞与額)の18.3%で、事業主と被保険者の折半負担となります。なお、3歳未満の子を養育するために育児休業および産前産後休業を取得している期間中の厚生年金保険料や健康保険料は、申し出によって、被保険者負担分および事業主負担分ともに免除されます。