危険物の分類と第4類危険物
【危険物の分類】
●危険物
消防法では、火災の危険性が高い物品を「危険物」と定めており、その貯蔵や取扱いなどについて規制している。なお、固体と液体のみで、気体は含まれていない。また、単体や化合物だけでなく、混合物もたくさん含まれている。
●危険物の分類
次のように第1類から第6類までに分類されている。
第1類危険物:酸化性固体
第2類危険物:可燃性固体
第3類危険物:自然発火性物質および禁水性物質
第4類危険物:引火性液体
第5類危険物:自己反応性物質
第6類危険物:酸化性液体
*〜物質の場合には固体と液体の両方を含んでいる。
*ゴロ:個で参加したが、物質自然に禁水し、液体インカで武士自己反応して液酸化
●第1類危険物(酸化性固体)
物質の分子中に酸素を含んでおり、加熱や衝撃などで分解して、酸素を放出することで、他の可燃物の燃焼を助ける。つまり、可燃物と混合すると爆発を起こす危険性もある。他の物質を酸化する物質(酸化性物質)であるが、自身は不燃性>である。
●第2類危険物(可燃性固体)
比重は1より大きいものがほとんどで、比較的低温で引火・着火しやすい固体である。酸化されやすい物質(還元性物質)であり、自身は可燃性である。引火しやすく、かつ、燃焼スピードが速いため、消火が困難である。
●第3類危険物(自然発火性物質および禁水性物質)
空気にさらされるだけで自然発火する危険性を持つ固体または液体を自然発火性物質と呼ぶ。また、水と接触することで発火したり、可燃性ガスを発生する固体または液体のことを禁水性物質と呼ぶ。ここに分類される物品の大部分がこの両方の危険性を併せ持っている。
●第4類危険物(引火性液体)
危険物全体の約9割を占める。つまり、一番幅広い場所で使用されているものとなる。本講義はこれを扱うための資格の対策であり、特にしっかりと勉強する必要があるため、後ほど優先的に詳しく見ていく。
●第5類危険物(自己反応性物質)
比重が1より大きいものがほとんどで、物質の分子中に酸素を含んでおり、加熱や衝撃などで分解して、放出した酸素によって自身が多量の熱を発生したり、爆発的に燃焼したりする。
●第6類危険物(酸化性液体)
第1類危険物と同様、物質の分子中に酸素を含んでおり、加熱や衝撃などで分解して、酸素を放出することで、他の可燃物の燃焼を助ける。つまり、可燃物と混合すると爆発を起こす危険性もある。他の物質を酸化する物質(酸化性物質)であるが、自身は不燃性である。
【第4類危険物】
●第4類危険物
第4類危険物はすべて常温(20℃)で液体である引火性液体である。発生した可燃性蒸気と空気とが混合し、そこに点火源が加わると引火したり、爆発する危険性も出てくる。
●第4類危険物の分類
引火点の違いによって次の7つに分類される。
(1)特殊引火物 引火点−20℃以下
発火点が100℃以下のもの(二硫化炭素など)、もしくは、1気圧において引火点が−20℃以下で沸点が40℃以下のもの(ジエチルエーテルなど)。
(2)第1石油類 引火点21℃未満
1気圧において引火点が21℃未満のもの(ガソリンなど)。
(3)アルコール類 引火点11℃〜23℃程度
1分子を構成する炭素原子(C)の数が1個〜3個までの飽和1価アルコールのこと(エタノールなど)。
(4)第2石油類 引火点21℃〜70℃未満
1気圧において引火点が21℃〜70℃未満のもの(灯油など)。
(5)第3石油類 引火点70℃〜200℃未満
1気圧において引火点が70℃〜200℃未満のもの(重油など)。
(6)第4石油類 引火点200℃〜250℃未満
1気圧において引火点が200℃〜250℃未満のもの(シリンダー油など)。
(7)動植物油類 引火点250℃未満
動物の脂肉(しにく)などまたは植物の種子や果肉から抽出した脂で、1気圧において引火点が250℃未満のもの。
*250℃以上のものに関しては消防法の規制対象外となる(例外あり)。
*分子内に二重結合や三重結合が存在しないアルコールのことを飽和アルコールと呼び、ヒドロキシ基(−OH)の数が1つのものを1価アルコールと呼ぶ。
*第1石油類〜第4石油類については引火点を覚える必要あり。
ゴロ:
不意に
慣れて、
臭うな
ニゴオ
●第4類危険物に共通する特性
次の4つの特性を共通して持っている。
①引火しやすい
第4類危険物はすべて引火性液体で、可燃性蒸気が発生する。つまり、火気などで引火する危険性を持っている。なお、引火点が常温よりも低いものがあり、加熱しなくても常温で引火する可能性がある。加えて、常温で引火しないものであっても、霧状にしたりすると、空気との接触面積が大きくなって引火の危険性が増大する。
②水に不溶で、ほとんどのものが水に浮く
水に溶けない性質を持ち、比重が1より小さいものが多く、ほとんどのものが水に浮く。つまり、流出がおこると水の表面に薄く広がるため、火災になった際には燃焼面積が広がっていく危険性が高まる。特にガソリン(0.65)と重油(0.9)を覚える。
③発生する可燃性蒸気は空気より重い
発生する可燃性蒸気の蒸気比重は1より大きいため、空気より重い。このため、発生した蒸気が低所に滞留する。つまり、床のくぼみ部分などに高濃度で溜まりやすくなり、特に危険である。
④静電気が発生しやすい
第4類危険物は液体で、一部の水溶性のものを除き、電気不良導体が多いため、流動などによって静電気を発生しやすく、かつ蓄積されやすい。蓄積されることで放電火花が発生しやすくなり、火災や爆発の危険性が高まる。加えて、保存しているドラム缶に衝撃を与えたりした際の衝撃火花も放電火花と同様注意が必要である。なお、静電気を蓄積しやすいという特徴が、非水溶性の危険物の指定数量が少ないことの理由の1つである(指定数量に関しては消防法の部分にて後述)。
*蒸気比重:その蒸気の質量がそれと同じ体積の空気(1気圧、0℃)の質量の何倍であるかを示した値で、単位は無い。
●例外的な性質の第4類危険物
第4類危険物は基本的に水に溶けないものが多いが、水溶性のものも一部存在する。
アセトアルデヒド、アセトン、酸化プロピレン、2−プロパノール、メタノール、エタノール、酢酸、グリセリン、エチレングリコール、ピリジン、酢酸エチル(わずかに溶ける)、ジエチルエーテル(わずかに溶ける)
*ゴロ:汗と汗とプロとプロがメタエタでさくっとグリグリピリとわずかにエチエチ
また、基本的には比重が1より小さいものがほとんどだが、1以上のものも一部存在する。
二硫化炭素(1.3)、酢酸(1.05)、クレオソート油(1.0~1.1)、ニトロベンゼン(1.2)、グリセリン(1.3)
*ゴロ:2つ竜か、さくっとくれよとニトロでグリ、いーさ、いーおこ、いー、胃にいーさ
●第4類危険物の火災の予防方法
①引火しやすいことへの対策
・火気や火花から遠ざける。
・液温が上昇すると引火の危険性が上がるため、加熱を避ける。
・容器を開放しっぱなしにすると可燃性蒸気が漏れ出すため、密栓して冷暗所に貯蔵する。
・温度が上昇して容器内で液体が熱膨張を起こすことで破損につながることがあるため、
容器内の空間容積を確保するために若干の空きを作る。
②蒸気が空気より重いことへの対策
・低所の換気や通風をきちんと行う。
・拡散させて濃度を薄めるために、屋外の高所に排出する(高所から屋外の地上に降下してくる間に濃度が薄まる)。
・火花を発生しないような防爆型の電気設備を使う(火花を発生する機械器具を使わない)。
③静電気を生じやすいことへの対策
・静電気の発生量は液体の流速に比例するため、流速を遅くする。
・容器、作業衣、ノズルなどに導電性が高い材料を用いる。
・静電気を水分に逃がすために、湿度を上げる。
・地面と導線を接続させて静電気を逃がすために、接地(アース)を施す
●第4類危険物の火災の消火方法
第4類危険物(可燃性蒸気)による火災には、可燃物の除去や冷却による消火は困難であり、窒息消火または抑制消火が有効である。水に溶けずに、かつ水に浮く危険物の火災の場合には、水による消火や強化液の棒状放射は避けること、逆に、水に溶ける危険物の火災の場合には、耐アルコール泡を使用する。ただし、普通の泡を使用すると泡が消滅して窒息効果が得られなくなるため避ける。
(第4類危険物に適した消火剤)
強化液(霧状放射):抑制効果
泡消火剤:窒息効果
二酸化炭素:窒息効果
ハロゲン化物:抑制効果、窒息効果
粉末消火剤:抑制効果、窒息効果
【第4類危険物 特殊引火物】
●特殊引火物の性質
1気圧で、発火点が100℃以下の引火性液体、または、引火点が−20℃以下であって沸点が40℃以下の引火性液体のこと。また、蒸気比重が1より大きいため、低所に滞留する。第4類危険物の中で特に引火しやすい危険なものである。特に、第4類危険物の中で、引火点が最も低いジエチルエーテルと、発火点が最も低い二硫化炭素は必ず覚える。また、すべて無色透明の液体である。
*ゴロ:特殊なインカで無糖な液体がマイナス二重で低く滞留
●ジエチルエーテル
(C2H5OC2H5)
(引火)第4類危険物の中で引火点が最も低く(−45℃)、極めて引火しやすい。また、沸点も低く(34.6℃)、かつ、燃焼範囲が広く下限値も低い(1.9〜36)。揮発性が高い。
(蒸気)蒸気は空気よりかなり重く、麻酔性がある。
(静電気)発生しやすい。
(溶解性)水には少し溶ける一方、アルコールにはよく溶ける。
(その他の特性)水よりも軽く、刺激臭がある。また、日光や空気に長時間さらすことで、過酸化物が生じて、加熱や衝撃により爆発する危険性が増すため避ける。
(保管)密栓して冷暗所に保管。
(予防)空気よりかなり重いため、低所に溜まりやすい。そのため、通風や換気をよくする。また、静電気を溜めないように気をつける、冷却装置などを用いて、沸点以下の管理を維持することも有効。
(消火)窒息消火(耐アルコール泡のほか、二酸化炭素、粉末など)が適応する。また、水に少し溶ける性質があるため、一般の泡消火剤を用いる場合には大量使用する。
●二硫化炭素
(CS2)
(引火)引火点−30℃以下で、引火しやすい。また、沸点も低く(46℃)、かつ、燃焼範囲が広く下限値も低い(1.3〜50)。発火点が第4類危険物中最も低い(90℃)ため、高温物体と接触するだけでも容易に発火する危険性がある。
(蒸気)蒸気は空気より重く、有毒である。
(静電気)発生しやすい。
(溶解性)水には溶けないが、有機溶剤には溶ける。
(その他の特性)水よりも重く、不快臭がある(ただし、純品は無臭)。燃焼すると、有害性のある二酸化硫黄(亜硫酸ガス)を発生する。
(保管)密栓して冷暗所に保管。保管時のポイントは、水よりも重い、かつ、水に溶けないという性質を活かし、容器に二硫化炭素を入れてその上から水を張るか、二硫化炭素を入れた容器ごと水没させることである(図44)。
(予防)低所に溜まりやすいため、通風や換気をよくする。また、静電気を溜めないように気をつける。
(消火)窒息消火(泡のほか、二酸化炭素、粉末)が適応する。表面に水を張ることで水封(すいふう)する窒息方法も使える。また、水噴射も有効である。
●アセトアルデヒド
(CH3CHO)
(引火)引火しやすい。また、沸点が第4類危険物の中で最も低く(21℃)、常温とほぼ同じになるため、極めて揮発性が高い。燃焼範囲も広い。
(蒸気)空気より重く、有毒で粘膜刺激性を持つ。
(溶解性)水によく溶けて、有機溶剤にも溶ける。そして、アセトアルデヒド自体が油脂などをよく溶かす作用も持つ。
*油脂:常温で液体の油(脂肪油)(植物油など)と常温で固体の脂(脂肪)(ラードなど)の2つがある。
(その他の特性)水よりも軽く、刺激臭がある。また、熱や光で分解すことがあり、一酸化炭素を発生しながらメタンに変わる。また、酸化すると酢酸になる。ちなみに、お酒を飲んだ後、生体内でエタノールがアセトアルデヒドに変わり、これが二日酔いの原因となる。
(保管)密栓して冷暗所に保管するが、その際には不活性ガス(二酸化炭素などといった化学的に安定で、他の物質と反応することがないガス)を封入(ふうにゅう)する。また、アセトアルデヒドは、銅、銀、銅の合金と反応して爆発性の化合物を生じるおそれがあるため、貯蔵用の容器類は鋼(はがね:少量の炭素を含む鉄の合金)製とする。
(予防)低所に溜まりやすいため、通風や換気をよくする。また、冷却装置などを用いて、沸点以下の管理を維持することも有効。
(消火)窒息消火(耐アルコール泡のほか、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物など)が適応する。水に溶けるものなので、一般の泡消火剤は不適である。また、冷却効果と希釈効果両方が期待できる水噴射も有効である。
●酸化プロピレン
(CH3CHCH2O)
(引火)極めて引火しやすい。揮発性が高い。また、重合(分子が次々と結合することで分子量の大きな分子を生成する反応)する性質がある。この重合はアルカリ存在下で進行し、発熱・爆発するおそれがある。
(蒸気)空気より重い。有毒なので吸入をさける必要があり、また、皮膚に付着すると凍傷(とうしょう)のような状態を呈することがある。
(溶解性)水にも有機溶剤にもよく溶ける。
(その他の特性)水よりも軽く、独特のエーテル臭を持つ。
(保管)密栓して冷暗所に保管するが、その際には不活性ガス(二酸化炭素などといった化学的に安定で、他の物質と反応することがないガス)を封入(ふうにゅう)する。また、銀や銅などの金属との接触により、重合が促進する可能性があるため、それらとの接触を避ける。
(予防)低所に溜まりやすいため、通風や換気をよくする。また、冷却装置などを用いて、沸点以下の管理を維持することも有効。
(消火)窒息消火(耐アルコール泡のほか、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物など)が適応する。水に溶けるものなので、一般の泡消火剤は不適である。また、冷却効果と希釈効果両方が期待できる水噴射も有効である。
●その他の特殊引火物
イソプレン、エチルメルカプタン、ギ酸メチルなどがあるが、試験では問われることはあまりないため、余裕があれば覚えておく程度で良い。ジエチルエーテル、二硫化炭素、アセトアルデヒド、酸化プロピレンの4つは必ず覚える。
*ゴロ:特殊なインカで焦ったプロが二流なエーテル。
【第4類危険物 第1石油類】
●第1石油類の性質
1気圧において、引火点が21℃未満の引火性液体をいう。水溶性のものと非水溶性のものとが存在して、指定数量が異なる(水溶性:400ℓ、非水溶性:200ℓ)。非水溶性のものの方が危険性は高い。ガソリン、酢酸エチル、アセトン、トルエン、ベンゼン、ピリジンがここに分類される。非水溶性のものの代表としてガソリンを、水溶性のものとしてアセトンを特にしっかりと覚える。すべて無色か無色透明の液体だが、ガソリンは灯油や軽油と区別するためにオレンジ色に着色してある。
ゴロ:ガソリンさえぴりっとあせってとるベンゼン
●ガソリン
自動車ガソリンとも呼ばれる。なお、炭化水素化合物を含め、色々な物質が混ざっている混合物なので、化学式はない。
毎回必ず出題される。
(引火)引火点−40℃以下で、極めて引火しやすい。また、沸点も低く(38℃〜)、かつ、揮発性が高い。
(蒸気)蒸気は空気よりかなり重い。過度の吸引により、頭痛やめまいなどを起こす。
(静電気)発生しやすい。
(溶解性)水には溶けない。油脂やゴムなどを溶かす。
(その他の特性)水よりも軽く、特有の臭気がある。
(保管)密栓して冷暗所に保管。
(予防)低所に溜まりやすいため、通風や換気をよくする。また、静電気を溜めないように気をつける。
(消火)窒息消火(泡のほか、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物)が適応する。
*なお、第1石油類に分類されるものの保管方法・予防方法・消火方法はガソリンに準じたものが多いので、ガソリンのものをしっかりと覚えること。
●酢酸エチル
(CH3COOC2H5)
(引火)引火しやすい。
(蒸気)蒸気は空気よりかなり重い。
(静電気)発生しやすい。
(溶解性)水にわずかに溶けて、有機溶剤にも溶ける。なお、水にわずかに溶けるものの、非水溶性に分類されている点に注意する。
(その他の特性)水よりも軽く、パイナップルに似た果実臭がある。
(保管)密栓して冷暗所に保管。
(予防)低所に溜まりやすいため、通風や換気をよくする。また、静電気を溜めないように気をつける。
(消火)窒息消火(耐アルコール泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物)が適応する。
●アセトン
(CH3COCH3)
(引火)引火しやすい。静電気火花によって着火する場合もある。沸点が低いので揮発性が高い。
(蒸気)蒸気は空気より重い。
(静電気)発生しやすい。
(溶解性)水によく溶けて、有機溶剤にも溶ける。油脂などもよく溶かす。
(その他の特性)水よりも軽く、甘酸っぱいフルーツのような臭いがある。
(保管)密栓して冷暗所に保管。
(予防)低所に溜まりやすいため、通風や換気をよくする。
(消火)窒息消火(耐アルコール泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物)が適応する。また、水噴霧も有効である。
●ピリジン
(C5H5N)
(引火)引火しやすい。
(蒸気)蒸気は空気よりかなり重い。
(溶解性)水によく溶けて、有機溶剤にも溶ける。有機物などもよく溶かす。
(その他の特性)水よりも軽く、腐りきった魚のような臭いがある。吸入や接触などによる毒性もあり。
(保管)密栓して冷暗所に保管。
(予防)低所に溜まりやすいため、通風や換気をよくする。
(消火)窒息消火(耐アルコール泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物)が適応する。また、水噴霧も有効である。
●ベンゼン
(C6H6)
(引火)引火しやすい。揮発性がある。
(蒸気)蒸気は空気よりかなり重い。また、吸入により中毒症状を呈することがある。
(静電気)発生しやすい。
(溶解性)水に溶けないが、有機溶剤にはよく溶ける。有機物などもよく溶かす。
(その他の特性)水よりも軽く、甘い芳香を持つ芳香族炭化水素である。また、毒性は強い。
(保管)密栓して冷暗所に保管。冬に固化したものでも引火の危険性あり。
(予防)低所に溜まりやすいため、通風や換気をよくする。また、静電気を溜めないようにする。
(消火)窒息消火(泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物)が適応する。
●トルエン
(C6H5CH3)
(引火)引火しやすい。揮発性がある。
(蒸気)蒸気は空気よりかなり重い。
(静電気)発生しやすい。
(溶解性)水に溶けないが、有機溶剤にはよく溶ける。有機物などもよく溶かす。
(その他の特性)水よりも軽く、甘い芳香を持つ芳香族炭化水素である。また、ベンゼンと比べると毒性は弱い。
(保管)密栓して冷暗所に保管。
(予防)低所に溜まりやすいため、通風や換気をよくする。また、静電気を溜めないようにする。
(消火)窒息消火(泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物)が適応する。
●エチルメチルケトン
(CH3COC2H5)
(引火)引火しやすい。揮発性がある。
(蒸気)蒸気は空気よりかなり重い。
(溶解性)水にわずかに溶けて、有機溶剤にも溶ける。なお、水にわずかに溶けるものの、非水溶性に分類されている点に注意する。
(その他の特性)水よりも軽く、アセトンのような甘酸っぱいフルーツのような臭い(特異な臭気)がある。
(保管)密栓して冷暗所に保管。
(予防)低所に溜まりやすいため、通風や換気をよくする。
(消火)窒息消火(耐アルコール泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物)が適応する。水噴霧も有効。
●第1石油類まとめ
共通性質→引火しやすい、水よりも軽い、蒸気は空気より重い。
ガソリン→オレンジ色に着色、引火点:−40℃以下、発火点:約300℃、燃焼範囲:1.4〜7.6vol%
毒性あり→ベンゼン(強)、ピリジン(中間)、トルエン(弱)
水溶性→ピリジン、アセトン
ベンゼンとトルエン→芳香族炭化水素、蒸気が有毒。
【第4類危険物 アルコール類】
●アルコール類の性質
消防法におけるアルコール類は、「1分子を構成する炭素原子の数が1個〜3個の飽和1価アルコール」に限定されている。ただし、含有量が60%未満の水溶液に関しては、アルコール類から除外される。具体的には、メタノール(メチルアルコール)、エタノール(エチルアルコール)、2—プロパノールの3つがあり、特にメタノールとエタノールが重要である。電気良導体なので静電気は生じない。また、普通の泡消火剤だと泡が溶けてしまうため、耐アルコール泡を使用する。
*飽和:炭素原子間の結合が単結合のみであること(二重結合、三重結合がないこと)。
*1価アルコール:分子中の−OHが1個だけのアルコールのこと。
●メタノール(メチルアルコール)
(CH3OH)
(引火)引火しやすい(引火点11℃)。沸点が低く、揮発性が高い。
(蒸気)蒸気は空気より少し重い。
(溶解性)水によく溶けて、有機溶剤にもよく溶ける。
(その他の特性)水よりも軽く、特有のアルコール臭がある。毒性が高い(体内でギ酸を生じて失明に至ることがある、「目散るアルコール」と俗称される所以である)。燃焼した場合、炎の色が淡く(あわく)、見えにくいので注意が必要となる。燃焼範囲がアルコール類の中で広いので燃料用アルコールとしても使用される。
(保管)密栓して冷暗所に保管。
(予防)通風や換気をよくする。
(消火)窒息消火(耐アルコール泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物)が適応する。水噴霧も有効。
●エタノール(エチルアルコール)
(C2H5OH)
(引火)引火しやすい(引火点13℃)。沸点が低く、揮発性が高い。
(蒸気)蒸気は空気より重い。
(溶解性)水によく溶けて、有機溶剤にもよく溶ける。
(その他の特性)水よりも軽く、特有のアルコール臭と味がある。麻酔性がある。飲用可能で酒類の主成分である。燃焼した場合、炎の色が淡く(あわく)、見えにくいので注意が必要となる。また、適度に希釈すると消毒液として使用できる。
(保管)密栓して冷暗所に保管。
(予防)通風や換気をよくする。
(消火)窒息消火(耐アルコール泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物)が適応する。水噴霧も有効。
●2−プロパノール(イソプロピルアルコール、イソプロパノール)
((CH3)2CHOH)
(引火)引火しやすい(引火点12℃)。
(蒸気)蒸気は空気よりかなり重い。
(溶解性)水に溶けて、エーテルにも溶ける。
(その他の特性)水よりも軽く、特有のアルコール臭と味がある。適度に薄めると消毒液として使用できる。
(保管)密栓して冷暗所に保管。
(予防)通風や換気をよくする。
(消火)窒息消火(耐アルコール泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物)が適応する。水噴霧も有効。
【第4類危険物 第2石油類】
●第2石油類の性質
1気圧において、引火点が21℃以上70℃未満の引火性液体で、常温では引火しないが、加熱などによって液温が引火点以上になると引火性蒸気を発生して危険である。水溶性のもの(代表的なもの:酢酸)と非水溶性(代表的なもの:灯油、軽油)のものに分けられ、それぞれ指定数量が異なる(水溶性:2000ℓ、非水溶性:1000ℓ)。特に、灯油と軽油に関してはその違い、重油(重油は第3石油類)との比較がよく出題される。
他にも、クロロベンゼン、キシレンがある。
*ゴロ:台に乗っての統計には苦労してキシっとサクッと。
●灯油
ケロシンとも呼ばれる。なお、原油から分留された石油製品で、炭化水素化合物を含め、色々な物質が混ざっている混合物なので、化学式はない。
(引火)引火点40℃以上で、特にガソリンが混ざったものは引火しやすい。また、液温が引火点以上になると引火の危険性がガソリンと同じくらいになる。
(蒸気)空気の4、5倍重い。
(静電気)流動で発生しやすい。
(溶解性)水、有機溶剤どちらにも溶けない。
(その他の特性)水よりも軽い。無色または薄い黄色(淡紫黄色(たんしおうしょく))で独特の臭気を持つ。霧状にしたりすると空気との接触面積が大きくなって引火の危険性が増す。発火点は220℃。
(保管)密栓して冷暗所に保管。
(予防)低所に溜まりやすいため、通風や換気をよくする。また、静電気を溜めないようにする。また、ガソリンと混ざらないように注意。
(消火)窒息消火(泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物)が適応する。
●軽油
ディーゼル油(ディーゼル機関の燃料)とも呼ばれる。なお、原油から分留された石油製品で、炭化水素化合物を含め、色々な物質が混ざっている混合物なので、化学式はない。
(引火)引火点45℃以上で、特にガソリンが混ざったものは引火しやすい。また、液温が引火点以上になると引火の危険性がガソリンと同じくらいになる。
(蒸気)空気の4、5倍重い。
(静電気)流動で発生しやすい。
(溶解性)水、有機溶剤どちらにも溶けない。
(その他の特性)水よりも軽い。淡黄色(たんおうしょく)または淡褐色(たんかっしょく)で独特の臭気を持つ。灯油とほぼ同じ性質を示すが、硫黄の含有量が多いことから色が濃くなる。霧状にしたりすると空気との接触面積が大きくなって引火の危険性が増す。発火点は220℃。
(保管)密栓して冷暗所に保管。
(予防)低所に溜まりやすいため、通風や換気をよくする。また、静電気を溜めないようにする。また、ガソリンと混ざらないように注意。
(消火)窒息消火(泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物)が適応する。
●クロロベンゼン
(C6H5Cl)
(引火)引火点28℃
(蒸気)空気の約4倍重い。
(静電気)流動などで発生しやすい。
(溶解性)水には溶けないが、有機溶剤には溶ける。
(その他の特性)無色透明で、水よりも少し重く、独特の臭気がある。少ないが麻酔性あり。また、霧状にしたりすると引火の危険性が増す。
(保管)密栓して冷暗所に保管。
(予防)低所に溜まりやすいため、通風や換気をよくする。
(消火)窒息消火(泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物)が適応する。
●キシレン(キシロール)
(C6H4(CH3)2)
(引火)引火点27〜33℃
(蒸気)空気の約4倍重い。
(静電気)流動などで発生しやすい。
(溶解性)水には溶けないが、有機溶剤には溶ける。
(その他の特性)無色透明で、水よりも軽く、独特の臭気(芳香族特有の臭い)がある。また、霧状にしたりすると引火の危険性が増す。
3種の異性体(オルトキシレン、メタキシレン、パラキシレン)が存在する。
(保管)密栓して冷暗所に保管。
(予防)低所に溜まりやすいため、通風や換気をよくする。
(消火)窒息消火(泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物)が適応する。
●酢酸
(CH3COOH)
(引火)可燃性があり、引火点39~41℃
(蒸気)空気より重い。濃い蒸気の吸入により粘膜炎症を発症する。
(溶解性)水にも有機溶剤にもよく溶ける。
(その他の特性)無色透明で、水よりもやや重く、刺激臭がある。また、強い腐食性があり、皮膚に付着すると火傷を起こすことがある。なお、酢酸の原液(純粋酢酸)よりも、酢酸を水で薄めた酢酸水溶液の方が腐食性は強い(弱酸性)。加えて、純粋酢酸は、17℃以下になると凝固するため、冬は氷結することが多い。このため、純粋酢酸のことを氷酢酸(ひょうさくさん)とも呼ぶ。いわゆる食酢は3〜5%の酢酸水溶液である。
*腐食性:他の物質の外見や機能を変質させる性質。
(保管)密栓して冷暗所に保管。
(予防)通風や換気をよくする。また、コンクリートを腐食させるため、酢酸を扱う場所の床にはアスファルト等を使用する。
(消火)窒息消火(耐アルコール泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物)が適応する。
●他の第2石油類
・n−ブチルアルコール
1−ブタノールとも呼ばれる。比重0.8、引火点35~37.8℃、発火点343~401℃、沸点117.3℃、融点(凝固点)−90℃。無色透明の液体で特徴的な臭気がある。水にほとんど溶けないため、非水溶性に分類される。
・プロピオン酸
比重1、蒸気比重2.56、引火点52℃、発火点465℃。無色透明の液体で不快臭がある。皮膚に付着すると火傷を起こしたり、濃い蒸気の吸入により粘膜が侵されたりする腐食性を持つ。水、アルコール、ジエチルエーテルによく溶ける。
・アクリル酸
比重1.05、蒸気比重2.45、引火点51℃、発火点438℃、融点13~13.5℃(液温が低下すると凝固する)。無色透明の液体で酢酸のような刺激臭があり、腐食性もある。また、重合しやすく、その際の重合熱が大きいので、発火や爆発の危険性が高い。このため、市販のものには、重合の防止剤が加えられている。水、アルコール、ジエチルエーテルによく溶ける。
●第2石油類のまとめ
(非水溶性)灯油、軽油、クロロベンゼン、キシレン、n−ブチルアルコール
(水溶性)酢酸、プロピオン酸、アクリル酸 ← 「酸」がつくもの
(水より重いもの)クロロベンゼン、酢酸、アクリル酸
(灯油vs軽油)
引火点:40℃以上vs45℃以上
液体の色:無色またはやや黄色vs淡黄色または淡褐色
溶解性:水にも有機溶媒にも不溶
静電気:電気不導体で静電気が発生しやすい
(酢酸)腐食性、水とアルコールによく溶ける、水より重い
【第4類危険物 第3石油類】
●第3類石油類の性質
1気圧において、引火点70℃以上200℃未満の引火性液体のこと。水溶性と非水溶性に分けられて、指定数量が異なる(水溶性:4000ℓ、非水溶性:2000ℓ)。すべて引火点が高いので常温では引火しない。試験によく出題されるのはグリセリン(水溶性)と重油(非水溶性)である。
●重油
原油を蒸留した際に、ガソリン、灯油、軽油を取り出した後に残る石油製品で、ボイラーなどの燃料に利用される。なお、炭化水素化合物を含め、色々な物質が混ざっている混合物なので、化学式はない。日本工業規格においては、重油は粘り気の少ない順に、1種(A重油:引火点60℃以上)、2種(B重油:引火点:60℃以上)、3種(C重油:70℃以上)に分類されている。
*引火点が70℃以上でないものも含まれるが、重油であれば第3石油類に分類することになっている。
(引火)引火点60〜150℃なので、加熱しなければ引火の危険性はかなり低い。ただし、霧状にすると危険性が増す。
(溶解性)水に溶けない(熱湯であっても溶けない)。
(その他の特性)水よりもやや軽く(比重0.9〜1)、第3石油類の中で唯一水よりも軽く、水に浮く。褐色または暗褐色で粘り気があり、独特の臭気がある。燃え始めると消火困難である(発熱量が多いため)。また、不純物として含まれている硫黄が燃焼により二酸化硫黄(亜硫酸ガス)になるため注意。
(保管)冷暗所に保管。
(予防)分解された重油は自然発火に注意。
(消火)窒息消火(泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物)が適応する。
●クレオソート油
炭化水素化合物を含め、色々な物質が混ざっている混合物なので、化学式はない。
(引火)引火点が比較的高いため、加熱しなければ引火の危険性はかなり低い。ただし、霧状にすると危険性が増す。
(蒸気)有毒
(溶解性)水に溶けないが、アルコールやベンゼンには溶ける。
(その他の特性)蒸気比重が1以上で、黄色または暗緑色の液体である。独特の臭気を持つ。
燃焼温度が高いため、燃え始めると消火困難である(発熱量が多いため)。
(保管)冷暗所に保管。
(予防)特になし。
(消火)窒息消火(泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物)が適応する。
●他の第3石油類
・アニリン C6H5NH2
比重1.01、蒸気比重3.2、引火点70℃、発火点615℃。無色または淡黄色の液体で特異臭があり、その蒸気は有毒である。水に溶けにくいが、有機溶剤にはよく溶ける。
・ニトロベンゼン C6H5NO2
比重1.2、蒸気比重4.2、引火点88℃、発火点482℃。淡黄色または暗黄色の液体で芳香臭があり、蒸気は有毒である。水には溶けにくいが、有機溶剤にはよく溶ける。
*本来ならニトロ化合物は第5類危険物に分類されるはずだが、爆発性がないため、第4類危険物の第3石油類に分類している。
・グリセリン C3H5(OH)3
比重1.3、蒸気比重3.2、引火点160~199℃、発火点370℃。無色、無臭で粘性があり、甘味のある液体である。吸湿性が高い。水やエタノールにはよく溶けるが、ベンゼンなどには溶けない。
・エチレングリコール C2H4(OH)2
比重1.1、蒸気比重2.1、引火点111℃、発火点413℃。無色透明、無臭の粘性があり、甘味のある液体である。水やアセトンにはよく溶けるが、ベンゼンなどには溶けない。
●第3石油類のまとめ
(非水溶性のもの)重油、クレオソート油、アニリン、ニトロベンゾン
(水溶性のもの)グリセリン、エチレングリコール
(無色無臭のもの)グリセリン、エチレングリコール
(水より軽いもの)重油
【第4類危険物 第4石油類】
●第4石油類の性質
1気圧において、引火点が200℃以上250℃未満の危険物のこと。指定数量は6000ℓ。潤滑油(物体同士が接触しあう時には摩擦熱や摩耗が発生するが、これらを低減させるために用いる油)や可塑剤(可塑とは「形を変えられる」という意味で、ゴムなどに柔軟性を与えたり、成形加工する際に用いられる物質)などが含まれる。
(引火)引火点が非常に高い(200℃以上)ため、加熱しなければ引火の危険性はかなり低い。ただし、霧状にすると危険性が増す。
(蒸気)常温(20℃)では揮発しにくい。
(溶解性)水に溶けない。
(その他の特性)一般的に水より軽い。
燃え出すと第4石油類自体の液温が上がり、燃え始めると消火困難である(発熱量が多いため)。
(保管)冷暗所に保管。
(消火)窒息消火(泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物)が適応する。水をかけると水が水蒸気爆発を起こして、油を噴き上げるため危険である。
●第4石油類の種類
・潤滑油
(自動車用潤滑油)モーター油(ガソリンエンジンの内部の潤滑に使われる潤滑油で、一般的には「エンジンオイル」と称される)、ギヤー油など
(一般機械用潤滑油)マシン油(一般機械の往復運動部分や回転部分などの潤滑に用いられる潤滑油で「機械油」とも称される)、シリンダー油、タービン油、切削油(せっさくゆ)(金属などを削ったりする際に摩擦を防いで冷却するために使われる油のこと)など
・可塑剤
(フタル酸エステル)フタル酸ジオクチルなど
(リン酸エステル)リン酸トリクレジルなど
第4石油類は一般的には水より軽い(比重が水の1よりも小さい)が、例外はリン酸トリクレジル(比重1.16)である。
*ただし、第4石油類の引火点と比重の値についてはメーカーによって多少異なるので参考値とされたい。
●第4石油類の引火点に関する注意
第4石油類の引火点は200℃以上250℃未満と定められているが、該当石油製品の中には、同物品でも用途などが異なることで引火点が違っていることがある。その場合、引火点が200℃未満のものは第3石油類に区分する。また、250℃以上のものは着火や延焼の危険性が低いため消防法の規制対象外となる(ただし、市町村ごとの条例によって「可燃性液体類」として規制される)。
なお、ギヤー油やシリンダー油に関しては、引火点が200℃未満または250℃以上のものであっても第4石油類に分類されるので注意。
【第4類危険物 動植物油類】
●動植物油類の性質
動植物油類は、動物の脂肉などまたは植物の種子や果肉から抽出した油で、1気圧において、引火点が250℃未満のもの。動植物油のような脂肪油には、空気中の酸素と結びついて樹脂状に固まりやすい性質がある(油脂の固化)。固化しやすい脂肪油を乾性油、固化しにくい脂肪油を不乾性油、その中間のものを半乾性油と呼ぶ。
(引火)引火点が非常に高い(200℃以上)ため、加熱しなければ引火の危険性はかなり低い。
(蒸気)常温(20℃)では揮発しにくい。
(溶解性)水に溶けない。
(その他の特性)比重0.9程度で水より軽い。布などに染み込ませることで、熱が蓄積されやすい状態で放置すると自然発火する危険性が高い。
燃え出すと液温が上がり、燃え始めると消火困難である。
(保管)換気を良くして冷暗所に保管。
(消火)窒息消火(泡、二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物)が適応する。燃焼中は液温が非常に高く、注水すると燃えている油が飛び散るので注意。
●動植物油類の種類
・乾性油
アマニ油(亜麻(あま)の種子から採取される乾性油。比重0.93、引火点222℃、発火点343℃)などがある。
不飽和脂肪酸が多く、固化しやすいという性質がある。絵の具、ペンキに使われる。
・半乾性油
ナタネ油などがある。
乾性油と不乾性油の中間の性質がある。食用油に使われている。
・不乾性油
ヤシ油(ココヤシの種子から摂取される不乾性油。比重0.91、引火点234℃)やオリーブ油などがある。
不飽和脂肪酸が少なく、固化しにくいという性質がある。化粧品、食用油に使われる。
●よう素価
油脂100gが吸収するよう素の質量(g)の値のこと。この値は試料中の不飽和脂肪酸二重結合の数を表し、このよう素価が大きいほど、その油脂は不飽和度が高くなる。そのために、酸化されやすく、酸化熱を蓄積しやすいため、発火の危険性が高いことになる。
(乾性油)
よう素価大きい
→不飽和度高い(130以上)
→不飽和脂肪酸多い
→固化しやすい
→自然発火しやすい
(不乾性油)
よう素価小さい
→不飽和度低い(100以下)
→不飽和脂肪酸少ない
→固化しにくい
→自然発火しにくい