第1編 労働法総論

第2章 労働関係の当事者

1-2-1 労働者

(1)定義

①「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」(労働基準法第9条)
②「使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者」(労働契約法第2条1項)
③「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者」(労働組合法第3条)
⇒まとめれば、「労働者は、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者」

(2)範囲
労働法全体で考えると、労働法の保護を受ける「労働者」には、雇われていている人は全て含まれる(正社員・契約社員(労働契約にあらかじめ契約期間が定められている労働者)、パートタイム労働者(1週間の所定労働時間が、同じ事業所の通常の労働者(正社員)と比べて短い労働者)・アルバイト・派遣社員(派遣会社と労働契約を結んだ上で、別の会社に派遣され、その指揮命令下で働く労働者)。

1-2-2 労働基準法・労働契約法等における労働者の判断基準

労働提供の形態等の諸事情を総合的に判断し、使用従属関係(使用従属性)が認められるか否かにより判断されるのが、労働基準法に関連する監督行政や裁判例の確立した基準である。

1-2-3 使用従属関係(使用従属性)の判断要素

(1)主要な判断要素
①仕事の依頼への諾否の自由
②業務遂行上の指揮監督
③時間的・場所的拘束性
④代替性
⑤報酬の算定・支払方法
(2)補充的な判断要素
①機械・器具の負担、報酬の額等に現れた事業者性
②専属性等