第3章 労働契約と権利義務
1-3-4 安全配慮義務
(1)定義
「安全配慮義務」とは、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」義務である(労働契約法第5条)。
(2)付随義務としての性格
使用者が、労働契約に基づいて、本来の債務である賃金支払義務を負うが、このほかに、労働契約に定めがなくても、付随義務として安全配慮義務を負うと解釈されてきたものを労働契約法で明文化した。
1-3-5 職務専念義務・誠実労働義務
労働者は、使用者に労務を提供する義務を負い、この義務を債務の本旨に従って履行しなければならない(民法第493条)。
このため、労働者は、労務提供義務の履行にあたって、職務に専念する義務(職務専念義務)を負い、誠実に労働しなければならない(誠実労働義務)。
1-3-6 秘密保持義務
労働契約の存続中は、その付随的義務の一種として、労働者は、使用者の営業上の秘密を保持すべきであるとしている。