課題3 次の原民喜の『うぐいす』の一節を、指示に従い3分程度で朗読してください。
指示1 登場人物がどのような環境で何をしているところなのか、情景が目に浮かぶように朗読してください。
指示2 雄二と雄二の父、山田君の表情の違いを考え、声を使い分けて読んでください。
雄二の家の庭さきに、ある朝、うぐいすがやって来ました。ホーホケキョ ホーホケキョ うぐいすは梅の枝にとまって二声三声さえずりました。が、すぐにへいをとびこえて、どこかへとんで行ってしまいました。
その翌朝もまたうぐいすがやって来ました。こんどは、雄二の家の庭が気に入ったのか、少しゆっくりしているようでした。うぐいすは梅の木の枝から枝へ上手にとびうつって遊んでいました。が、しばらくすると、またへいをとびこして行ってしまいました。
うぐいすは毎朝やって来て、だんだん雄二の家の庭を好きになるようでした。縁側の方から雄二たちが見ていても、あわてて逃げだすようなことはありません。
日曜日の朝でした。
「よし、あのうぐいすを一つ写真にうつしてやろう」と、雄二の父は早速カメラを持って縁側に現れました。
「とれた、とれた、うまくとれたぞ」
父はうれしそうでした。雄二もどんな写真が出来るのか早く見たくてたまりませんでした。五日ほどして、うぐいすの写真は出来上りました。それは庭の黒べいと梅の枝が黒くうつっていて、白い花とうぐいすの姿がくっきりと浮出ている、すばらしい写真でした。雄二は父からその写真を一枚もらいました。
けれども、その写真が出来た頃から、うぐいすは雄二の家の庭に姿を見せなくなりました。どうしたのかしら、どうしたのかしら、と、雄二はしきりにさびしくなりました。
雄二はうぐいすの写真をポケットに入れて学校へ行きました。
「僕のうちに来ていたうぐいすだよ」
「そうかい」と、山田君は目をみはりました。
雄二は山田君をつれて、家にもどって来ました。が、庭に来てみても、やはりうぐいすはいませんでした。雄二と山田君はその写真と庭の梅の木を見くらべて調べてみました。ちょうど、あのうぐいすがとまっていた枝が見つかりました。
「あそこのところにとまっていたのだね」
「うん、あそこのところだ」
「あそこのところに何かしるしつけておこう」
山田君はポケットから白いひもを取出しました。そして、それをうぐいすのとまっていた枝のところに結びつけました。
この部分は読まなくて結構です。
出典 原民喜『うぐいす』より