良い声とは
カッコいい声や可愛い声、優しい声、綺麗な声など、皆さんがイメージする「良い声」とはどんな声でしょう?
声優はトレーニングする事で色々な声が出るようになりますが、もともとの声質は人それぞれ違います。
プロの声優には可愛い声やハスキーボイス、暖かい声など色々なタイプの声優がいますが、皆さんそれぞれの個性で活躍しています。
ヒーローのカッコいい声やヒロインの可愛い声だけが良い声だとしたら、他のキャラクターの声は悪い声をと言うことになってしまいますよね?
そうなると物語は成立しません。
実際声優の現場では、良い声、悪い声という考え方はほとんどないでしょう。
それでは「良い声」とはどんな声のことでしょうか?
声自体の「綺麗」「可愛い」「カッコいい」などということではなく、その人の声が「聞きやすい」「分かりやすい」「心地良い」と感じられる声です。
簡単に言うと「良い発声」で出る声が本当の「良い声」です。
ですから、もともとの声質で良い声、悪い声と区別するわけではありません。
だから誰でも「良い声」は出せるのです。
①リラックスした正しい呼吸で、
②リラックスした正しい発声で、
③聞いている人に明確にわかりやすく届く声。
これが本当の正しい「良い声」です。
しかし、声優として仕事をして行くには「良い声」が出せるだけでは生き残れません。デビューして、売れっ子声優になれば収録に長時間かかる現場が続き、十分な休養が取れなくても、仕事に影響が出ない強い声帯、強い声が良い声と同じくらい必要です。
そのためには、
①どんな時でも安定した声が出せること、
②声を自由にコントロールできることが非常に重要です。
そのために、まず大事なのは、身体や声帯がリラックスして、力が入っていない状態で声を出すことです。身体がリラックスしないで、特に肩に力が入っていると喉に力が入り、喉を締め付けることになり、いわゆる喉声になってしまいます。そうすると長時間、声を出し続けるとかすれてきたり、声の出が悪くなり、マイクに通りにくい声になります。
声帯は他の身体の部分と同じで筋肉の一つです。
ですから、スポーツする前にストレッチなどをするのと同じように、声帯をリラックスさせるのは、とても大事です。
声帯だけでなく、その周りの顔や首、肩、そして全身をリラックスさせる事が良い声に繋がります。
リラックスする方法は、普段はあまりやらないでしょうが、顔やおでこを撫でてあげたり、ほっぺを膨らませたり、口の周りを引っ張ったりするのが効果的です。
身体は首を回す、左右前後に倒す、肩を回す、腰を回す、など、身体はスポーツをする前の準備運動と同じです。
全身をリラックスさせることで声帯もリラックスして、喉に負担をかけない発声が出来ます。
そして、台本上の状況で役の感情を明確に表現して、聞いている人の心に響く「良い声」を出せるようにトレーニングしましょう。